【神様の定食屋(2)】中村颯希/これが食べたかったを思い出す店

シリーズ2作目となる今作、季節は夏です。

今回もキャラの濃い魂が哲史の体を借りて、料理を作ります。

10年ぶりに小説を読み漁るようになった筆者がオススメポイントと共に、個人的感想を書きました。

作品情報

タイトル 神様の定食屋(2)ごちそうさま、めしあがれ

著者   中村 颯希

出版社  双葉社

発売日  2017/12/13

ページ数 320

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あらすじ

主人公の高坂哲史(こうさか てつし)はシステムエンジニアとして会社勤めをしていましたが、現在は休職中。

妹の志穂と共に、両親が営んでいた定食屋「てしをや」を切り盛りしています。

そこへ登場するのが近所にある神社の神様。

哲史は神様へ願い事をする代わりに、神様の元にいる魂の願いを受け入れ自分の体を借します。

魂の願いとは待ち人に料理を振る舞うこと。

今作では哲史の仕事復帰や、志穂の恋に新展開、神様との今後など…

それぞれの岐路についても描かれています。

前作同様、キャラの濃い魂が登場します!

シリーズ1作目の感想はこちら

作中に登場する料理が美味しそう!

今晩のメニューに困った時にも読み返したい。

【神様の定食屋】中村颯希/心も体も温まるホットストーリー

感想

魅力溢れる登場人物

 今作で印象に残ったのは「 三皿目 名前のない野菜炒め」に登場する魂、森田厳治(もりたげんじ)こと、厳さん。

厳さんは酒好きで競馬好きの、陽気なおじいさん。

面白くて誰とでも仲良くなってしまいそうな、魅力溢れるキャラクターです。実はこの方、なかなかのキーマンでして…1作目から読んで頂くと繋がります。

厳さんが作る料理はいい加減なようで良い加減で、まるっっとするっっと美味しい野菜炒めが出来上がります。なんだか厳さんの性格がそのまま料理に反映しているように感じました。

なあに、炒めちまえば、不思議と味がまとまるもんよ

厳さんの言葉は杓子定規とは対極にいて、どうにかなるさ、大丈夫さ!と見守ってくれているようで、あったかいです。

ちなみにですが、「四皿目 〆の鯛茶漬け」に出てくる芳子さんもまた面白い女性。

必ずひとこと多い。

しかし怒るほどのことでも無いのでスルーするけれど、しっかりダメージが残る、そんな発言をしてくれます。厳さんも芳子さんも年の功というのか、人間味があって憎めないんですよね。

シリーズ四作まで発売されているので、これからどんなキャラクターが登場するのか。

楽しみであります。

料理初心者にオススメしたい

主人公の哲史はこれまで料理というものをしてきませんでした。

つけ合わせのキャベツはなぜ千切りでないといけないのか?なんて妹の志穂を呆れさせます。

志穂はというと高校生の時から店の手伝いをし、短大でも料理関係の勉強に励んでいたので料理は得意。食材をどう調理しようかウキウキしながら厨房に立ちます。

志穂をはじめ、神様から紹介された魂に料理のいろはを伝授される哲史。

どうしてこうするのか、そのノウハウが丁寧に描かれいているので、料理を始めたい方は一度読んでみてほしい。

食材の選び方、調理方法や食材の切り方。

きっと読み終わったら作ってみたくなると思います。

さあ、哲史と共に料理をマスターしましょう!

(ちなみに、わたくし主婦ですがズボラなため知識が浅く…読みながら修行させて頂いております。まじで勉強になります)

ドラマ化希望!

料理を作る様子、フライパンで炒める音、鍋でぐつぐつ煮る音、活気ある店内、はたまた静まり返った店内に1人だけの客。

どれも原作どおり丁寧に描いたなら、と妄想してしまいます。

神様のキャスティングが一番難しそうではありますが。あの人がいいかしら、この人がいいかしら、と考えるのもまた楽しい。

深夜枠でひっそり放送して大反響!なんて妄想までして笑

これが食べたかったを思い出す店

【神様の定食屋】は落ち着ける場所に戻ってきたような気持ちになる本です。

そして「定食屋てしをや」はこれが食べたかったんだ、と言う気持ちに気付かせてくれる場所。

会社の近く、家の近所にこんな定食屋があったらな、と思います。

疲れて夕食を作る気力が無くても、この定食屋へ行く道はなぜか足取りが軽い。

哲史と志穂の「いらっしゃいませ」の明るい声に、顔を上げ自然と笑みが溢れる。

はああ、食べてみたい、志穂ちゃんの手料理!!

ビールもしくは炭酸ジュースと一緒に、心温まる物語をどうぞ楽しんでみてください。

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