夜9時に開店するフランス料理店「キッチン常夜灯」
ここは夜を彷徨う人を快く受け入れ、料理で癒し元気づけてくれる。
フランス料理に疎くても、あまり食欲が無くても大丈夫。
ひっそりと闇夜に灯った明かりを目指して来店すれば、シェフとソムリエがあなたにぴったりの料理を用意してくれます。
小さなフランス料理店で出会うシェフの温かい料理とともに、自分と向き合って成長する女性の物語です。
タイトル キッチン常夜灯
著者 長月 天音
出版社 KADOKAWA
発売日 2023/9/22
ページ数 250
Kindle Unlimited 対象外
Audible 対象外
あらすじ
飲食チェーン店に勤務する南雲みもざは、多くの観光客で賑わう「浅草雷門通り店」の店長を務める。
分不相応な役職に心身ともに疲れ果て、家に帰るも眠れぬ夜を過ごしていた。
そんな時、ある出来事がきっかけで美味しいフランス料理店を知る。
夢のような優しい時間とシェフの想いがつまった料理を堪能し、明日への希望を抱き始める…
感想
「キッチン」というタイトルから想像できるとおり、たくさんの料理が登場します。
料理だけでなく、仕事での悩みや仕事に対する姿勢についても同じくらい描かれています。
仕事に悩みがあっても下を向いていてばかりでは、どうにもならない。
現代は働き方が変わってきましたし、女性の活躍も当たり前。
思い描いていた夢を現実にする術が、すぐ見つかるような時代になりました。
シェフの料理を活力に変えていく人たちに共感できる小説です。
仕事で人間関係で悩むみもざの成長
店長に抜擢されたみもざですが、2年やってきても慣れない日々を送っています。
それゆえ不眠に悩み満身創痍。
誰しもうまくいっていたはずの仕事で、急に悩みを抱えることがあると思います。
好きだった仕事、楽しめていた職場が悩みの種に変わることが。
そうすると、プライベートも楽しめなくなって仕事のことばかり考えてしまいますよね。
まさにみもざはその状況で、読んでいて苦しくなりました。
でも、周りにいる人が優しくて苦しさの中に希望が見えてきます。
みもざは責任感があって素直で優しいから、仕事を振るより自分で動いてしまってしんどくなってくるのかなと思いました。
しかし「キッチン常夜灯」に足を運ぶことで、彼女の考えに変化が起き始めます。
他人を変えるより自分が変わる方が簡単というけれど、まさにその通り。
私もあれこれ考えを巡らすより、前向きに行動することを心がけるようになりました。
シェフの理想の店
シェフもみもざと同様、仕事に悩んだ時期がありました。
それを経験することで実現した理想のお店。
他店ではお目にかかれないような料理を提供してくれるので、次はどんな料理に出会えるのだろうと楽しみで仕方ありませんでした。
現実にこんなお店があれば嬉しい。
小説ファンのために期間限定でも出してくれたらな…
フランス料理に詳しくなくても大丈夫。
常連客の中にはフランス料理店という認識が薄い方もいますし、私はお酒や料理の名前を検索しながら読み進めました。
行こうと決めたらすぐ常夜灯に行けるみもざが羨ましい。
バックグラウンドが丁寧に描かれていて感情移入必至
みもざ、シェフ、ソムリエの千花さん、常連客…
それぞれ一生懸命ひたむきに生きてきたからこその重みをがあって、成長があります。
だから語られる言葉が読者の心も温め癒してくれる。
料理はもちろん、登場人物のバッククラウンドもしっかりと描かれているので感動して泣いたり、一緒に笑顔になったりできる小説です。
こんなお店を見つけたら給料日や記念日には必ず足を運ぶだろうなと思います。
しっかりごはんを食べることの大切さ
最近の小学校では朝食を食べてきたかの確認をするそうです。
それだけ何かに取り組むには、食事が重要だということ。
シェフとともにお店を切り盛りするソムリエの千花さんの言葉です。
こういう時はね、美味しいものたくさん食べてお腹いっぱいにするのがいいのよ。美味しいってだけで、頭の中をいっぱいにするの。
ドラマ「おいハンサム2」でも似た言葉がありました。
いったんことが起こったら、それに臨むにあたってはただいたずらに時間を過ごすより、まず腹ごしらえをすることが先決だ。
状況が好転するか分からないけれど、お腹を満たさなければならない。
このお店では前向きになれる糸口が見つけられるような気がします。
私も千花さんの選んでくれたドリンク飲みたいなぁ。
続編もあるのでそちらも読みたいですね。
どんなストーリーと料理が登場するのか楽しみです。